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by yuna-sos-0305
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第33話


翌日、北山は黒沢と曲の打ち合わせをしていた村上に声を掛けた。


「リ-ダ-・・・・」


「あ?なんだよ?」


「ちょっと聞きたいことがあるんですけど・・いいですか・・・・?」


その北山の 真剣な眼差しに押し迫る何かを感じ


「・・・・・あ・・・ああ・・・・・・・」


村上は ゆっくりと呟いた。


************


「・・・で?なんだよ話って?」


北山と 2人きりの部屋で 煙草を取り出しながら 村上が口を開いた。


「・・・・雄二に・・・好きな人がいるっていうのは・・・知ってますよね・・・?」


短い沈黙の後



煙草をくわえながら、村上が そっと呟いた。



「・・・・・ああ・・・・・・知ってる・・・・・・」




「・・・・・この間、雄二が熱出した時に黒ポンと見舞いに行って、その時会ったんですよね・・・?

彼女に・・・・・」



「・・・・・・どうしてそのこと・・・・・・」




「黒ポンから聞いたんです・・・・・」




「そうか・・・・・・・まっ、正確には俺が呼びだしたんだけどな・・・・・」


煙草に火をつけ、ゆっくりと煙を吐き出しながら 村上が呟いた。



「で?お前は何が知りてぇ訳?」



村上の その言葉に 外の景色を眺めていた北山が


ゆっくりと 振り返り  そっと口を開いた。



「彼女の名前・・・・教えて欲しいんです・・・・・・」


************

「あれ・・・?参ったな・・・・」


スタジオの中に入ってきた 酒井は意中の人物がいないことに気がつくと

小さく呟いた。


「どうしたの?村上に何か用?」


ソファ-で、雑誌を広げていた黒沢が声を掛ける。


「いや・・・今度できた俺の曲、村上がコ-ラス入れてくれるっていうんで、試しに
1回レコ-ディングしてみようと思ってきたんですけど・・・」



「そっかぁ・・・なんかさ~、北山の奴が妙に神妙な顔して村上のこと呼びに来てさ
今、2人で話してるんだよね」


「北山が・・・?」



「うん。仕事のことだったら、たぶんここでも話せると思うんだけど・・・場所、わざわざ移動した
ぐらいだから何か個人的な話なのかもね~」



黒沢の言葉に 酒井は小さな胸騒ぎを感じて  スタジオの扉の向こう側を見つめた・・・。




***********


「気にしてるんですよ、彼女。真尋さんが雄二と深い関係なんじゃないかって・・・・。

真尋さんとはすごく仲もいいみたいなので、尚更って感じで・・・・」




そう言いながら 別の部屋から出てくる北山の姿を酒井は見逃さなかった。




「・・・・・彼女・・・・・?」




小さく呟いて、北山の言葉を理解しようと頭を巡らす。




「で?お前はどうすんだよ、彼女に言うのか?酒井と姉貴のことを。」




「・・・・・・本当は僕が立ち入る話じゃないですけど・・・彼女に聞かれたからには


ちゃんと答えてあげようと思ってます・・・・・」




そう言って 真っ直ぐに 村上を見据える 北山の瞳は


とても  力強いものだった。



どこまでも 純粋で 優しい この仲間達を



いずれ 巻き込むことに なるなんて




その時、酒井は 予想さえ していなかった。



終わった恋だと 思っていた 恋は



終わりではなく  確かに  その想いを 紡ぎ始めていた




静かに   ゆっくりと・・・・・
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by yuna-sos-0305 | 2005-03-07 21:14