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by yuna-sos-0305
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第37話


「真尋の・・・・?」



「そう、真尋さんの妹の真那ちゃん。彼女から訊いたことない?」



「いや全然・・・・・」


そう呟いて 目の前を見つめれば


そっと頬笑みを浮かべた 女性が立っていた。



まだ“女性”と呼ぶには 幾分か早いと思われるほど

可愛らしい面影を残している。



「初めまして、麻生真那です。」


そう言って 自分に向かって頭を下げる 彼女を

ぼんやりと見つめる。



「急に妹だなんて言われて驚きましたよね・・・?」



「えっ・・いや・・・その・・・・・・」



戸惑いながら 言葉を探していると



「いいんです。驚いたって無理ないですよね・・・」

そう呟く 彼女に

そっと微笑み 言った。


「お姉さんと・・・真尋さんとよく似てますね・・・・」


驚いた表情がやがて、ゆっくりと

微笑みに変わった。


**************

いつもより少し早めに仕事を切り上げて

彼女と2人、夜の景色に染まっていく街の中に繰り出した。

「・・・・北山から訊いたんですよね・・・・?」


運ばれてきた ばかりのコ-ヒ-をスプ-ンでゆっくりと混ぜながら



そっと呟く。



「・・・・・はい・・・・・」




「・・・・・・・・・そうですか・・・・・・」




「でも、北山さん・・・言ってました・・「酒井は本当に真尋さんを愛してるんだ」って・・・・・・・・・」




「・・・・・・・・・・・・・」




「・・確かに最初は驚いたけど・・・でもなんとなく分かる気がします・・・」




「・・・・・・お姉ちゃんが・・酒井さんに惹かれた理由・・・・・・」



そう言って 真っ直ぐに 俺を見据える。




「酒井さんと居ると、安らげるんだと思います・・・・・・・」





その言葉に 全てが止まるような気がした。


真っ直ぐに 自分を見つめてくる
彼女の瞳は 真尋の瞳に とても似ていて
力強かった。



彼女と出会った日のことを ふと思い出しながら



ゆっくりと 話し始める。



「確かに・・・俺はあなたのお姉さんを・・・真尋さんを、好きになりました・・・・・・
彼女が結婚していたにもかかわらず、それでも自分の想いを止めることはできませんでした・・けど・・・・もうそれも終わったことです・・・・・彼女には家庭がある・・・・育んでいくべき命がある彼女にとってもう俺は必要ない存在なんです・・・・」




「・・・・・・・・・・・・」




「・・・・・諦めるって事ですか・・・・・?」



「・・・・・・・愛する人は1人で十分でしょう・・・・?」



「・・・・・確かに見た目から見たら、お姉ちゃんは幸せなんだと思います・・・けど私はそうは思いません・・・・・・」



「・・・・・どうしてですか・・・?・・」




「お姉ちゃん・・・いつも何かを探してるって感じなんです。なんていうのかな・・・いつもどこかパズルのピ-スが見つからないみたいに・・・何か足りない、って顔してるんです。口では「幸せよ」なんて言うくせに、寂しそうな表情ばかりしてて・・・」



「・・・・・・人はなにかしら、常に幸せを求める者ですからね・・・・」

「・・・・・・・・・・」

その彼の言葉に 返す言葉もないままに

ゆっくりと目の前に置かれている コ-ヒ-に口をつけようとした瞬間

「真那ちゃん?」

聞き覚えのある声が耳元に響いた。

ゆっくりと顔を上げれば

「圭介さん・・・・」

その優しげな微笑みが すぐ傍で揺れていた。

「どうしたの?こんなところで」

「・・・・・・」

「あ・・もしかして・・デ-ト?」

「あ・・・その・・・」

「神崎、行くぞ。」

「ああ・・・」

傍にいた同僚らしき男性に 声をかけられ
圭介はそっと微笑んだ。

「これから外回りなんだ。それじゃ、またね」

そう言って 爽やかな笑顔を浮かべ
ゆっくりとその場所から 立ち去っていった。

「・・・・・知り合いなんですか・・・?」

そう酒井に声を掛けられ 真那はゆっくりと呟いた。
「・・・お姉ちゃんの・・姉の夫です・・・・」

「・・・えっ?夫・・・・・・・?」

その真那の言葉に酒井はじっと圭介が立ち去った
その場所を見つめていた・・・・。

酒井の脳裏に 真尋の笑顔が蘇っていた。

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by yuna-sos-0305 | 2005-03-31 10:45