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by yuna-sos-0305
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第42話

翌日  まだ眠りの中にいる村上を携帯の着信音が起こした。




眠りの余韻もそのままに



ベットの中から腕だけを出して 携帯電話に手を伸ばす。




「・・・・・・・・・・・はい・・・・」



不機嫌そうにも聞こえる その声で電話に出れば




その耳元に 響いてきたのは北山の声だった。





「・・・・・僕ですけど・・・・・」




「どうしたよ?また何かトラブルか?」





「雄二・・・・・帰ってこなかったみたいなんです・・・・。確認のため、竹内にも連絡

入れたんですけど・・・何も連絡はなかったって・・・・・」




幾分か伸びた髪をゆっくりとかき上げながらながら





溜め息をつく。






「・・・・・・・本気で駆け落ちでもしたかもな・・・・・・」






そっと呟いて





身体をベットから起こす。





「あ~、もうしょうがねぇわ。俺、今からスタジオ行くからよ。お前も酒井の行きそうなところ

探してくれねぇか?」





「・・・・・・・・・分かりました・・・・。」






************************


ふと目覚めれば   見覚えのない景色が広がっていた。





「・・・・・・・よく眠れましたか・・・・?」




その声に 視線を向ければ





優しい笑みを 浮かべた彼の姿があった。





「・・・・・・・ここ・・・・・・」




「ホテルです・・・・」


「ホテル・・・・」


酒井の言葉を反復するように 真尋はそっと呟いた。



「・・・・・このままどこかに・・・・・」



そっと囁く酒井の声が聞こえなかったのか



真尋はじっと酒井を見つめていた。



「・・・・・雄二さん・・・・・?」



「いや・・・何でもないです。お腹空いたでしょ?美味しいもんでも食べて

帰りましょう・・・俺、送っていきますから・・・・」



そう言って  酒井はそっと微笑みを浮かべた。


***********************

「・・・・ホテルの名前とか聞かなかったのかよ・・・」


「・・・てっきり帰ってくるもんだとばかり思ってたので・・安心しちゃって・・
・ ・・・失敗しました・・・」

そう小さく呟くと 北山は操作していた携帯をゆっくりと閉じた。

「・・・しょうがねぇよなぁ・・・」

そう呟けば 窓越しに外の景色を眺める。

いつの間に 降り出していたのか 雨が窓を濡らしていた。

「・・・待ちますか・・・・?」

いつもより 更に低い 北山の声を聞きながら

村上はぼんやりと視線を彷徨わせた。

次の瞬間、テ-ブルの上に置かれていた北山の携帯が着信を告げた。


緊張が走る。


「・・・酒井か?」


「・・・いえ・・違うみたいです・・・」


そう言って ゆっくりと通話ボタンを押す。


「・・・はい・・・北山ですが・・・」


「・・・・・・・・・・・」


「もしもし・・・・・?」


「・・・・北山さん・・・ですか・・・・?」


「はい・・そうですが・・・・」


「・・・・・・突然すみません・・神崎と言います・・・・」

「・・・・神崎さん・・・・?ですか・・・・?」

確かめるように 相手の言葉を反復する。


「・・・・真尋の・・・・神崎真尋の夫です・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・」


*************************************

「それじゃあ・・・行きますか?」


酒井の穏やかな言葉に導かれるように ゆっくりとドアへと向かう。


その大きな  広い背中は  今 何を感じているのだろう


何を思っているのだろう


そんなことを思ったら  急に足が立ち止まった。


「・・・・・・・・・」


「・・・・・・このまま一緒じゃ駄目なの・・・・?」


言葉が  想いが   ゆっくりと 溢れ出す


「・・・・・・・え・・・?」


「このまま一緒にいたら・・・行けないの・・・?」


自分に向けられた その視線を交わすことなく 見つめ続ける。


「・・・・・・・・お願い・・・・・・・」


「・・・・・今・・・一瞬でも・・私を愛してるなら・・・・」

             涙が溢れ出す。
「私を想ってくれているなら・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・奪ってよ・・・・・私を・・・・さらってよ・・・」


      やがて その瞳は切なさを称えて
      私を見つめ続け そして捉える。

「・・・・・・・・・・私をさらって・・・・・・・・」




 



行き先など  分からずに



始まった恋だから   ただ今は




この胸にある   確かな想いを信じて・・・・・。
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by yuna-sos-0305 | 2005-05-08 18:13