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by yuna-sos-0305
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DAWN~夜明け~









scene 1




恋に落ちて



















気付いた時には 恋に落ちていた。



その恋は私の世界を180度変えた。

































長年の幼馴染だった 優から彼を紹介されたのは6年前



高校2年の時だった。





『俺の幼馴染の 紫穂梨。 仲良くしてあげてね』





『初めまして。 雨宮紫穂梨です、北山さんの事はずっと優から訊いてました。

 お会いできて嬉しいです。』



『初めまして、北山陽一です。 こちらこそお会いできて幸いです。』









これが私と彼の出逢いだった。



北山陽一。



優と共にゴスペラーズとして活躍している彼は 本当に優しくてただ傍にいるだけで 幸せを感じた。





男女関係なく 自分に関わった全ての人を魅了される 確かな華を 彼は持っていた。

















「・・・うん、美味しい。また、腕上げたんじゃない?」



そう言ってみんなの為に作ってきた、手作りのチーズケーキを口にすると 陽一は柔らかく微笑んだ。



「・・・陽ちゃんにそう言って貰えると、お世辞でも嬉しいな」



彼の優しい言葉に 素直に嬉しさを感じながら



カップに残った、アールグレイをそっと啜る。 





この日、珍しく、事務所には陽一しかいなくて 



2人だけの時間を過ごしていた。



「・・・みんな遅いね」



ポツリとそう呟けば



「・・そうだね、でも もうじき帰ってくると思うよ?」



小さく微笑んで 陽一はまたテーブルの上に置かれた楽譜を捲った。





彼と過ごす 時間が好きだった。

特別な事をする訳でもなく、ただ ゆったりと流れる何物にも代える事のできないこの一時は

私の宝物だった。





「・・・・そういえば就職、決まったんだっけ?」



ふと 楽譜から顔を上げて 陽一が訊ねてくる。



「・・あ、うん。お陰様で4月から社会人1年生です(笑)」





そう言って 彼に笑顔を向ければ



「・・・・じゃあ、お祝いしなくちゃね」



ゆったりと微笑む彼。





「・・・・・え・・・?」



彼の言葉に 首を傾げれば



「・・・再来週の土曜日、予定・・・ある?

良かったら紫穂梨の就職祝い一緒にしよっか・・・?」





そう言って 陽一は  出逢った時と同じように



柔らかで 甘い  その笑顔を浮かべた。
by yuna-sos-0305 | 2015-04-08 19:03 | 小説