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第7話 

「運命の出会い?」
走らせていたペンを止めて、酒井はそう言った。
「そ。今度、女性誌の取材があるじゃん?その時にインタビュ-されるテ-マなんだって。」
そう言って安岡はトップモデルが表紙を飾る、ファッション誌をぺらぺらと捲った。

「恋愛はお前の得意分野だろ。俺は、新曲について話させてもらうから、その運命の出会い
についてはお前が今までの経験を元に語ればいい。それで全てうまく収まる。」

はっきりと自分の意志を主張すると
酒井は再びペンを走らせ始めた。


「何でだよ~!!何でいっつもそうやって、自分が苦手だからって俺にばっか
回すんだよ~。」
安岡の非難の声など 耳に入らないように酒井は頭の中にあるイメ-ジを曲として
形づくっていく。


「こら。レコ-ディング中ですよ?少し静かにしなさい。」
生徒を叱る教師のように北山はそう言って安岡を見つめた。
「だってさぁ~、酒井さんってば全然協力してくれないんだもん。」
その言葉を静かに受け止めて。
「もうすぐ黒ポンが終わりますから。集中するためにも少しレコ-ディングの様子、
見てきたらどうですか?」
「・・・・・・・分かったよ・・・・・」
ブ-スに向かう安岡の姿を見つめながら北山は小さく溜息をついた。
「・・・・・・大体、恋愛は苦手なんだよ・・・・」
そっとペンを置き、溜息と共に呟く。
「また何か言われたんですか?」
ゆっくりと椅子に腰掛け、北山は酒井を見つめた。
「今度、女性誌のインタビュ-受けることになってるだろ?その時のインタビュ-の
テ-マが“運命の出会い”っていうらしいんだけど、俺にも話せって・・・・
自分の方が断然、得意分野であることは分かってるハズなのに。安岡のやつ・・・」
「まぁ、確かに言われてみればその通りだよね(笑)でも同じ仲間だからこそ
相手について知りたいって思う感情は普通の人より強いと思うよ」

「相手について知りたい?」
北山の言葉を反復しながら、酒井は北山の次の言葉を待った。
「まぁ、簡単に言えばお互いに知り尽くしていたと思ってた相手が意外な一面を
持っていたりね。」

「それに分からない事があればあるほど、その事柄について知りたくなるって
いうのが人間だからね。」

北山の明快な言葉は いつも酒井の心を刺激する。
そして酒井はその度、思うのだった。
“こいつには敵わない”と。

「一度、自分が感じたままに話してみたらどうかな?
リセットじゃないけど、客観的に自分を見つめ直すいい時期だと思うよ。
歌手としても。1人の人間としてもね。」
そう言って北山は小さく微笑みを浮かべた。
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by yuna-sos-0305 | 2005-01-27 19:20