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第9話 

広い会場には村上の歌声が響いている。
緊張するどころか、微笑みを浮かべている。
そんな村上の様子を酒井はぼんやりと眺めていた。


「ここに居たんだ」
その声に振り返ると そこには黒沢が立っていた。
「あぁ・・・。控え室にいてもすることないし・・・」
「力になれるかどうか分からないけど何か悩んでるんだったら言ってよね」
酒井の隣に腰掛けながら黒沢はそっと言った。
「え・・・・?」
不思議そうな表情を浮かべる酒井を見つめながら
黒沢は小さく笑って言った。
「眉間に皺寄ってたよ。すっごい難しそうな顔してた(笑)」
そう言って黒沢は自分の額をトントンと叩いた。
そんな黒沢に酒井は立ち上がり、微笑みを浮かべながら言った。
「大丈夫です。本当駄目になりそうな時には、助けてもらいますから。」


「酒井さんってさぁ~、何考えながら歌ってんだろ・・・・」
北山がピアノを弾く姿を見つめながら安岡はポツリと呟いた。
「今度は何ですか(笑)?」ピアノを弾く手を休めて安岡を見つめる。
「ほらっ、酒井さんってあまり恋愛した事ない感じじゃん?自分でも“恋愛対象外を
生きてきました”なんて言ってるしさ・・・でもゴスペラ-ズの場合、圧倒的に
ラブソングを歌う事はすごく多いから、そんな時酒井さんはどんな事、考えながら
歌ってんのかなぁ~って・・・」
「・・・・まぁ確かに経験を重ねれば重ねるほど、歌っていうものはより真実味を帯びて
くるものですけど、本当にそれだけか?って言われればそうだとは言い切れません
からね・・・まぁ、雄二なりにいろいろ考えて歌ってるんじゃないですか?」
そう言って北山は微笑みを浮かべると再び旋律を奏で始めた。

開演は すぐそこまで迫っていた。
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by yuna-sos-0305 | 2005-01-28 18:18