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by yuna-sos-0305
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第15話 

ライブから数日たった頃、酒井の元に1本の電話がかかってきた。

「すみません遅れてしまって・・・これ、お預かりしてたジャケットです」
そう言って女性はジャケットを入れた紙袋を酒井に手渡した。
「わざわざすみませんです・・ここ、すぐ分かりました?」
そっと微笑みを浮かべながら、彼女を見つめる。
「ええ・・・結構目立つビルだって言ってたじゃないですか?それに会社の名前
ずっと頭の中で繰り返してましたから(笑)」
何もかも忘れてしまいそうなほど 綺麗な微笑みを浮かべる。
一瞬も目を逸らすことなどできないほど 女性の微笑みは酒井の心を捉えた。

「大きいんですね・・・・」
コ-ヒ-を啜りながら彼女が呟いた。
「えっ・・・・・?」
「ジャケット・・・家に持ち帰った時に見てみたらすごく大きくてビックリしました(笑)」
その微笑みに捉えられたまま 口を開く。
「でかいのが取り柄みたいなもんですから(笑)」
そう言って、コ-ヒ-を飲もうとカップを持つ手が止まった。
白い彼女の手。
左手の薬指には
銀色に光るマリッジリングがそっと輝きを放っていた。


「・・・・・・・・・・」
この感情は何なのか。
もう2度と会うことはないであろう
彼女への想い・・・。
「・・・・・酒井さん・・・・・?」
ふと その声に

顔を上げれば

「・・・・どうかしたんですか・・・・?」

その真っ直ぐな瞳で


彼女が見つめていた



この俺を。


「あ・・・ちょっと考え事を・・・・」

そう言って微笑みを浮かべてはみるものの


彼女の瞳は


俺を見つめたままで



感じたことのない


衝動に


駆られてしまう


「あ、もうこんな時間・・・・・・」


なぜだか


いつもやけに



現実的なのは



「女の方なんだぜ?」と


村上から聞いたことがある



ともすれば



このささやかな時間も もう終わりを告げるのだろうか


「ごめんなさい私、用事があるのでこれで・・・・。
これからも頑張って下さい・・応援してます・・・」

そう言って席から立ちあがる


彼女に


無意識のうちに


叫んでいた


「あのっ!!」



驚いた表情で彼女が俺を見つめる。



「あのっ・・・・・その・・・・もし・・・・・もし・・・貴方さえいいのなら・・・・・これからも・・・・・・
これからも・・・・・俺と会ってもらえませんか・・・・・・?」


気がついた時には


もう 墜ちていたんだ


「真尋」という名の


運命に・・・・・
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by yuna-sos-0305 | 2005-01-30 19:39