第20話
2005年 02月 02日
夫に対して 秘密を持ってしまったとはいえ

なぜか 私の心は 晴れ晴れとしていた。
夫と居る時には 感じていなかった
「女」としての 自分自身が目覚めていくような
そんな 気がした。
お風呂から上がり、喉を潤そうと
冷蔵庫から ミネラルウォ-タ-を取り出した瞬間
「・・・・・お帰りなさい・・・・」
無言のまま、リビングに立ち尽くす夫の姿があった。
夫はしばらくの間、私を見つめると
視線をそらし、上着を脱ぎながら言った。
「風呂・・・あるか・・・?」
「ええ・・・・」
「入ってくる」
私が“夕食は?”と聞く前に 彼は扉の向こう側に姿を消した。
濡れた髪を軽くタオルでふきながら
夫が脱いでいった上着を手に取り、寝室へと足を運ぶ。
クロ-ゼットの中からハンガ-を取り出すと
手に持っていた 上着を掛け、形を整え
再びクロ-ゼットの中にしまった。
小さく溜息をついて
部屋の中をぼんやりと見つめていると
私を引き戻すかのように
電話のベルがけたたましく鳴り響いた。
「はい、神崎です・・・」
そう言って 電話を取ると
受話器の向こう側から 楽しげな優子の声が聞こえてきた。
「どう?その後は?」
「な~に、その後って(笑)?」
「圭介さんとうまくやってる・・・・?」
ゆっくりと けれど 確かに
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・なんか最近、いろいろと悩んでるみたいだったし・・・・」
彼女の言葉は 私の心を刺激する。
「・・・・・・うん・・・・うまく・・・やってる・・・・・・・」
本当はそうじゃないのに
心とは裏腹な事を言ってしまう
心を許せる親友にまで いつの間にか
心を偽っている自分に 気付く。
扉を開ける音に気付き
会話もそこそこに
私は優子からの電話を切った。
夫は私を見つめ すぐにソファ-に座りながらテレビをつけた。
冷蔵庫の扉を開きながら 私は夫に声を掛ける。
「ビ-ルでも飲む?」
そう言うと 静かに振り向いて
再びテレビへと視線を向けた。
小型のトレ-にビ-ルとグラスと栓抜きの三点セットを乗せて
私はゆっくりと リビングのテ-ブルにトレ-を置いた。
Tシャツ姿で、眼鏡を外した夫は
いつもとは違う どこかあどけなさを残した
少年のようだった。
栓抜きで ビ-ルの蓋を開け透明なグラスに銀色に輝くビ-ルを注ぐ。
「はい、どうぞ。」
そう言って 夫の前にビ-ルが注がれたグラスを置き
ゆっくりと 静かに その一口を飲んだのを確認すると
「おつまみいるでしょ?なんか軽く作ってくるわね」
そう言ってソファ-から 立ち上がろうとした瞬間
「・・・・・・・・どうしたの・・・・・・・?」
夫が私の腕をつかんだ。
久しぶりに感じる 夫の肌、その感触。
いつも以上に 言葉を発することもなく
ただ行動で 自分の気持ちを表現しようとしてた。
そして
ゆっくりと
私を
ソファ-の上に 押し倒した。
驚きの表情を浮かべる 私に
夫は そっと囁く。
「・・・・・夫婦なんだから・・・当然だろ・・・・?」
そう言って ゆっくりと 口づけた。
「・・・・・・・・んっ・・・・・・・」
久しぶりに味わう 夫とのキスは深く 濃厚で 大人な味だった。
「・・・・・・なんか・・・こういう風に接すること・・・ずっと避けてたような気がするな・・・・・」
そう言ってから
「いや・・・俺のせいだよな・・・俺がいつもお前の傍にいてやらないから・・・・・」
ゆっくりと私の髪を撫でながら
「・・・・・・・・・・ごめんな・・・・・」
そう呟いて ゆっくりと私の額に口づけた。
********
疲れ果てた夫が 深い眠りについているのを
確認すると
ゆっくりと ベットをすりぬけ
深夜のバスル-ムへと足を運んだ。
入浴剤の甘い香りに包まれて
バスタブに浸かりながら
「・・・・・・・・っつ・・・・・・・・・・」
声を 押し殺して
泣いた。
あの頃の 私達は
いつも
予想もつかない 展開に
ふりまわされ続けていた。
それが「苦難」である事も
気づかずに
必死で
全てを受け入れようと
もがき続けていた。

なぜか 私の心は 晴れ晴れとしていた。
夫と居る時には 感じていなかった
「女」としての 自分自身が目覚めていくような
そんな 気がした。
お風呂から上がり、喉を潤そうと
冷蔵庫から ミネラルウォ-タ-を取り出した瞬間
「・・・・・お帰りなさい・・・・」
無言のまま、リビングに立ち尽くす夫の姿があった。
夫はしばらくの間、私を見つめると
視線をそらし、上着を脱ぎながら言った。
「風呂・・・あるか・・・?」
「ええ・・・・」
「入ってくる」
私が“夕食は?”と聞く前に 彼は扉の向こう側に姿を消した。
濡れた髪を軽くタオルでふきながら
夫が脱いでいった上着を手に取り、寝室へと足を運ぶ。
クロ-ゼットの中からハンガ-を取り出すと
手に持っていた 上着を掛け、形を整え
再びクロ-ゼットの中にしまった。
小さく溜息をついて
部屋の中をぼんやりと見つめていると
私を引き戻すかのように
電話のベルがけたたましく鳴り響いた。
「はい、神崎です・・・」
そう言って 電話を取ると
受話器の向こう側から 楽しげな優子の声が聞こえてきた。
「どう?その後は?」
「な~に、その後って(笑)?」
「圭介さんとうまくやってる・・・・?」
ゆっくりと けれど 確かに
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・なんか最近、いろいろと悩んでるみたいだったし・・・・」
彼女の言葉は 私の心を刺激する。
「・・・・・・うん・・・・うまく・・・やってる・・・・・・・」
本当はそうじゃないのに
心とは裏腹な事を言ってしまう
心を許せる親友にまで いつの間にか
心を偽っている自分に 気付く。
扉を開ける音に気付き
会話もそこそこに
私は優子からの電話を切った。
夫は私を見つめ すぐにソファ-に座りながらテレビをつけた。
冷蔵庫の扉を開きながら 私は夫に声を掛ける。
「ビ-ルでも飲む?」
そう言うと 静かに振り向いて
再びテレビへと視線を向けた。
小型のトレ-にビ-ルとグラスと栓抜きの三点セットを乗せて
私はゆっくりと リビングのテ-ブルにトレ-を置いた。
Tシャツ姿で、眼鏡を外した夫は
いつもとは違う どこかあどけなさを残した
少年のようだった。
栓抜きで ビ-ルの蓋を開け透明なグラスに銀色に輝くビ-ルを注ぐ。
「はい、どうぞ。」
そう言って 夫の前にビ-ルが注がれたグラスを置き
ゆっくりと 静かに その一口を飲んだのを確認すると
「おつまみいるでしょ?なんか軽く作ってくるわね」
そう言ってソファ-から 立ち上がろうとした瞬間
「・・・・・・・・どうしたの・・・・・・・?」
夫が私の腕をつかんだ。
久しぶりに感じる 夫の肌、その感触。
いつも以上に 言葉を発することもなく
ただ行動で 自分の気持ちを表現しようとしてた。
そして
ゆっくりと
私を
ソファ-の上に 押し倒した。
驚きの表情を浮かべる 私に
夫は そっと囁く。
「・・・・・夫婦なんだから・・・当然だろ・・・・?」
そう言って ゆっくりと 口づけた。
「・・・・・・・・んっ・・・・・・・」
久しぶりに味わう 夫とのキスは深く 濃厚で 大人な味だった。
「・・・・・・なんか・・・こういう風に接すること・・・ずっと避けてたような気がするな・・・・・」
そう言ってから
「いや・・・俺のせいだよな・・・俺がいつもお前の傍にいてやらないから・・・・・」
ゆっくりと私の髪を撫でながら
「・・・・・・・・・・ごめんな・・・・・」
そう呟いて ゆっくりと私の額に口づけた。
********
疲れ果てた夫が 深い眠りについているのを
確認すると
ゆっくりと ベットをすりぬけ
深夜のバスル-ムへと足を運んだ。
入浴剤の甘い香りに包まれて
バスタブに浸かりながら
「・・・・・・・・っつ・・・・・・・・・・」
声を 押し殺して
泣いた。
あの頃の 私達は
いつも
予想もつかない 展開に
ふりまわされ続けていた。
それが「苦難」である事も
気づかずに
必死で
全てを受け入れようと
もがき続けていた。
by yuna-sos-0305
| 2005-02-02 20:02