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by yuna-sos-0305
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第20話  

夫に対して 秘密を持ってしまったとはいえ
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なぜか 私の心は 晴れ晴れとしていた。


夫と居る時には 感じていなかった


「女」としての  自分自身が目覚めていくような


そんな 気がした。




お風呂から上がり、喉を潤そうと


冷蔵庫から ミネラルウォ-タ-を取り出した瞬間


「・・・・・お帰りなさい・・・・」


無言のまま、リビングに立ち尽くす夫の姿があった。



夫はしばらくの間、私を見つめると




視線をそらし、上着を脱ぎながら言った。



「風呂・・・あるか・・・?」


「ええ・・・・」


「入ってくる」



私が“夕食は?”と聞く前に 彼は扉の向こう側に姿を消した。


濡れた髪を軽くタオルでふきながら


夫が脱いでいった上着を手に取り、寝室へと足を運ぶ。




クロ-ゼットの中からハンガ-を取り出すと


手に持っていた 上着を掛け、形を整え


再びクロ-ゼットの中にしまった。


小さく溜息をついて


部屋の中をぼんやりと見つめていると


私を引き戻すかのように


電話のベルがけたたましく鳴り響いた。



「はい、神崎です・・・」


そう言って 電話を取ると


受話器の向こう側から 楽しげな優子の声が聞こえてきた。


「どう?その後は?」


「な~に、その後って(笑)?」


「圭介さんとうまくやってる・・・・?」


ゆっくりと けれど 確かに 


「・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・なんか最近、いろいろと悩んでるみたいだったし・・・・」


彼女の言葉は 私の心を刺激する。


「・・・・・・うん・・・・うまく・・・やってる・・・・・・・」


本当はそうじゃないのに


心とは裏腹な事を言ってしまう



心を許せる親友にまで いつの間にか



心を偽っている自分に 気付く。



扉を開ける音に気付き


会話もそこそこに


私は優子からの電話を切った。



夫は私を見つめ すぐにソファ-に座りながらテレビをつけた。


冷蔵庫の扉を開きながら 私は夫に声を掛ける。


「ビ-ルでも飲む?」


そう言うと 静かに振り向いて


再びテレビへと視線を向けた。



小型のトレ-にビ-ルとグラスと栓抜きの三点セットを乗せて



私はゆっくりと リビングのテ-ブルにトレ-を置いた。



Tシャツ姿で、眼鏡を外した夫は



いつもとは違う  どこかあどけなさを残した



少年のようだった。



栓抜きで ビ-ルの蓋を開け透明なグラスに銀色に輝くビ-ルを注ぐ。



「はい、どうぞ。」


そう言って 夫の前にビ-ルが注がれたグラスを置き


ゆっくりと 静かに その一口を飲んだのを確認すると


「おつまみいるでしょ?なんか軽く作ってくるわね」


そう言ってソファ-から 立ち上がろうとした瞬間


「・・・・・・・・どうしたの・・・・・・・?」


夫が私の腕をつかんだ。


久しぶりに感じる 夫の肌、その感触。


いつも以上に 言葉を発することもなく


ただ行動で  自分の気持ちを表現しようとしてた。


そして


ゆっくりと


私を


ソファ-の上に 押し倒した。



驚きの表情を浮かべる 私に


夫は そっと囁く。



「・・・・・夫婦なんだから・・・当然だろ・・・・?」



そう言って ゆっくりと 口づけた。




「・・・・・・・・んっ・・・・・・・」



久しぶりに味わう 夫とのキスは深く 濃厚で  大人な味だった。



「・・・・・・なんか・・・こういう風に接すること・・・ずっと避けてたような気がするな・・・・・」



そう言ってから


「いや・・・俺のせいだよな・・・俺がいつもお前の傍にいてやらないから・・・・・」


ゆっくりと私の髪を撫でながら 



「・・・・・・・・・・ごめんな・・・・・」



そう呟いて ゆっくりと私の額に口づけた。



********



疲れ果てた夫が 深い眠りについているのを


確認すると



ゆっくりと ベットをすりぬけ



深夜のバスル-ムへと足を運んだ。



入浴剤の甘い香りに包まれて



バスタブに浸かりながら



「・・・・・・・・っつ・・・・・・・・・・」


声を 押し殺して




泣いた。





あの頃の 私達は




いつも



予想もつかない 展開に




ふりまわされ続けていた。




それが「苦難」である事も


気づかずに



必死で



全てを受け入れようと



もがき続けていた。
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by yuna-sos-0305 | 2005-02-02 20:02