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by yuna-sos-0305
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第28話


「本当に1人で大丈夫か?」

ス-ツ姿に身を包んだ夫が心配そうな表情でそう尋ねる。


「大丈夫。ほら、このところ気候の変化が激しかったでしょ?
だからちょっと疲れただけ。心配しないで。」


そう言って笑顔を浮かべる。

「本当に大丈夫だから・・・ね・・・?」

念を押すようにゆっくりと呟いて 夫を玄関へと送り出す。


「何かあったらすぐに携帯に連絡しろよ?」

そう言って 心配そうな表情を浮かべながら  夫はゆっくりとエントランスへと
向かっていった。



******

「さて・・・片付けるとしますか・・・」

1人呟いて テ-ブルの上に置かれている食器を片付け始めようとした瞬間



「っつ・・・・・・!」



突然の吐き気が襲った。




慌てて洗面所に駆けこみ、口をゆすぐ。




吐き気はすぐに収まったものの、真尋の中に1つの疑問が生まれていた




*********


「1200円になります」



自分の中の疑問を確かめようと1時間後





真尋は薬局に足を運んでいた。



代金を払うと、店員から渡された品物を丁寧にバックの中にしまい



薬局を後にした。

**********

「ちょうど東京に来てたから良かったけど、あたしがもし横浜に
いたらどうするつもりだったの?」



そう言いながら、真那は真尋が入れた紅茶をゆっくりと啜った。



「ごめんね・・・でも、どうしても真那にいてもらいたくて・・・」


マグカップを両手で包み込みながら、真尋はそっと呟いた。



「・・・・・・何かあったの・・・・?・・・・・」


ゆっくりとそう尋ねる、真那に真尋は真っ直ぐに真那を見つめると言った。




「確かめてもらいたいの」



************

「終わった?」



「うん・・・・」



真尋はトイレからゆっくりと出ると、下を向いたまま


検査薬を真那に手渡した。



「5分経てば出るんだよね?」



「そう・・・・」



短い 沈黙の後


結果を確認した真那がそっと呟いた。



「出たよ・・・・」




息を飲んで 次の言葉を待つ。




「陽性・・・・妊娠してる・・・・」





その言葉を聴いた瞬間、吐きだした息と共に



涙が溢れた。



夫婦にとって  嬉しいはずの出来事は



今の真尋にとって  重荷になっていた。


「圭介さんに言わなくちゃね・・・」


ポツリと真那が呟く。



「そうね・・・でもその前に明日、産婦人科に行ってちゃんと確かめてくる。

それで妊娠が本当だったら圭介にも伝えるし、・・・真那にも伝えるから・・・」



「うん・・・・でもお姉ちゃんが母親かぁ~、なんか想像つかないな~。すっごいスパルタ
だったりしてね(笑)?」



「真那・・・・」



真尋が呟くと



「はいはい。冗談だってば。」



はしゃぐ真那の後姿を見つめながら


真尋は心の中で小さく“ごめんね“と呟いた



********

ゆっくりと深呼吸をして、目の前に置かれた携帯電話を見つめる




産婦人科で明日結果が分かったら、もうこれで終わりにしようと




真尋はそう心に決めていた。




アドレスの中から、彼の携帯番号を呼び出し




通話ボタンを押す。




何度かのコ-ル音のあと、電話は留守番電話に切り替わった。




「真尋です。今週中に1度会いたいの・・・大事な話があって・・・・。いつでもいいので

電話下さい。待ってます・・・・」


メッセ-ジを留守番電話に吹き込むと、真尋はゆっくりと通話ボタンを押し

電話を切った。



そして夜景が広がるベランダへと出た。



夜の風がそっと頬を撫で



真尋はそっと呟いた。



「これでいいんだよね・・・これで・・・・・・」





いつも失うものは




大切なものばかりで




けれど  その大切さも  分からずに





失ったあと    その重さや尊さに  気付く





そしてもう2度と戻らない 失ったものに




想いを馳せる















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by yuna-sos-0305 | 2005-02-17 22:15