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by yuna-sos-0305
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BELOVED


北山達、5人に祝福されながら

村上と紫穂梨はささやかで小さな けれど 幸せに満ちた 式を挙げた。

********

「でも、結婚なんてさ~、どうしてまた急に?」

スタジオに向かう途中の車の中で安岡が聞いた。

「別に今日突然思い立った訳じゃねぇよ。あいつと・・・紫穂梨と約束してたんだ・・・1年前から・・・・「お前が17歳になったら結婚しよう」って・・・」

左手にはめられた銀色に輝くマリッジリングを見つめながら村上は小さく呟いた。


「でも、もし酒井が電話してくれなかったら俺たちのこと、式に呼んでくれるつもりは
なかったんだろ?なんか冷たいよな~。もう10年も一緒にやってきた仲間なのにさ・・・」


そう言って 黒沢は口を尖らせた。


「大騒ぎになるのが嫌だったんでしょ?」

ミラ-越し、ハンドルを握りながら北山が村上を見つめながら言った。


「まぁ、それも一理あるかな・・・・」


「っつ-か、そんな俺の結婚ごときで騒ぐなよ。あ、祝いなら別に貰ってやってもいいぜ?」

そう言って 村上が差し出した 右手を 黒沢は一瞥すると

すぐに窓の外を流れる景色へと視線を移した。


「何、怒ってんだよ・・・」


そう小さく呟いた 村上の言葉は宙に浮いたままで



その様子を助手席から見ていた安岡は


「子供の喧嘩じゃないんだからさぁ・・・・・・」

小さく呟き、溜息をついた。


静かな沈黙が 車の中を  そして5人を 包んでいた。


********

「そろそろ着いたかな・・・」

小さく呟きながら、携帯のディスプレイを開きメ-ルを打ち始める。


「てっちゃんへ。


もうスタジオに着いた頃かな?

私は今、式場を出て麻布のカフェで一息ついてるところ。

なんかこうやってお茶飲んでると、何も変わらないのに・・・

でも左手にはちゃんと指輪があって・・・なんかすごく不思議な気分です・・・。

私・・・てっちゃんと結婚したんだよね・・・夫婦になれたんだよね・・・・。

今夜は遅くなりそう?

遅くなってもいいの。てっちゃんの好きなロ-ルキャベツ作って待ってます。

それから北山さん達にもよろしく伝えといてね?

また一緒に話したいなぁ・・なんて(笑)

体調に気をつけて。

またメ-ルするね。   紫穂梨 」


メ-ルが送信されたことを確認すると

紫穂梨はテ-ブルに届いたケ-キを食べ始めた。



**********

1日の仕事を終え、村上がスタジオでぼんやりしていると


「帰らなくていいの?待ってるんじゃない?紫穂梨ちゃん」



「北山・・・・・」


そこには北山の姿があった。



「昨日のマスタリングまだしてなかっただろ?だから音源だけでも聞いて帰ろうかと

思ってよ・・・・」


そう言いながら テ-ブルの上に置かれている ヘッドホンに手を伸ばす。




「いい子だね」



北山がポツリと呟く。



「あ?」



「紫穂梨ちゃん。てつにはもったいないぐらい、すっごいいい子だな~って・・そう思ったよ」


「そりゃまぁ、俺が惚れた女だからな。良くて当たり前だって。」


ヘッドホンをCDプレ-ヤ-に繋ぎながら 幸せを感じつつ そう呟く。



「てつみたく俺も自信があればな・・・・」


そうポツリと呟いた 北山の表情はなぜかとても切ないものだった。


「・・・なんだよいきなり・・・。まさか、女に逃げられたとかって言うんじゃねぇだろうな(笑)?」


小さく笑いながら そう言うと



「案外、そうだったりしてね」


真面目な表情で 答える北山がいた。



「・・・・・・・・・・・・・」


北山の言葉に  何も言えず 村上はただ北山を見つめるしかなかった・・・


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by yuna-sos-0305 | 2005-02-18 20:44