人気ブログランキング |

文章中心のサイトです。


by yuna-sos-0305
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

<   2006年 01月 ( 1 )   > この月の画像一覧

夢幻花第5話


『公表?』

『そ。酒井が美咲の恋人であることを公表すんだよ』
『そんな公表なんてしたら、あとが大変なんじゃない?情報っていうのは1度流れたら全てに伝わるんだから』
村上の横顔を見つめながら、安岡が口を開く。

『っていうか・・病気であることを公表して雑誌に手記でも載せたらいいんじゃないかな?』

何気なく呟いた、北山の一言に村上達は北山を見つめた。

***************
『~読者の皆様へ
お久しぶりです。水野美咲です。皆さんとこういった形でお会いするのは初めてなので
少しばかり緊張を感じつつ(笑)今日は皆さんにご報告したいことがあって、こうしてペンを
取りました。実は、私、水野美咲は現在都内の病院にて治療をしています。時間は少しばか
りかかってしまうかもしれませんんが、今は良きパ-トナ-と良き時間を過ごしているので
ご心配なく。早くまた元気になってスタッフのみんなと仕事ができるよう頑張りますので
これからも応援よろしくお願いします。水野美咲~』

美咲の手記が掲載されたファッション雑誌を見つめながら安岡達は次々と感想を
述べた。

『良きパ-トナ-だって、すごいじゃん酒井さん。』
『っつ~か、やっぱこうしてみるとモデルだよな~』
『美咲ちゃんもこう言ってくれたことだし、やっぱこの後はツ-ショット写真でも載せたら?』
そんな安岡達に、酒井は小さく呟いた。
『・・・・あんたら・・・・おもしろがってるだろ・・・・・・』
『・・・・・・・・・・・・・』
******************************
『美咲ちゃん、出席できそう?』
曲作りの手を休めながら、北山は酒井を見つめながら言った。
『ああ・・今のところ体調もいいし、1泊2日で外泊することになったよ』
『そう・・それなら良かった・・・』
ホッと息をつく、北山を見つめながら酒井はポツリと呟いた。
『あと1週間か・・・・』
『真尋は今日もエステに行ってるよ(笑)』
『それもお前のためだろ(笑)?』
『まぁね(笑)』
『黒ポンが、“北山に先越されるとは思ってもみなかった”って悔しがってましたよ(笑)』
幾分か、温くなったコ-ヒ-を啜りながら 酒井は北山を見つめた。
『俺も自分でビックリだよ(笑)・・・でもなんていうか・・もうこれ以上、真尋を
放っておいたら真尋がどこかにいっちゃう・・・そんな気がしてさ・・・・』
『・・・・・・・』
『・・・・雄二ならさ・・・』
『ん?』
『尚更なんじゃないの?そういう気持ち・・・』
そう言って 北山はじっと酒井を見据えた。
『結婚しろって事か・・・・?』
『そうじゃなくて・・・美咲ちゃんのこと・・ちゃんとつかまえていた方がいいって
事。こういう状態が続くようだったらさ・・尚更、結婚って事はちゃんと考えてた
方がいいと思うよ?』

『・・・・・・・』
現実的な北山の言葉に、酒井は何も言い返すことができなかった

*************************


『美咲ちゃんは結婚とか考えてたりする・・・?』
『どうしたんですか突然・・・・』
病室に備え付けられていた椅子に座りながら、真尋はゆっくりと話し始めた。
『・・・ほら私も結婚して、再来月には香織ちゃんも結婚するでしょ?だからなんて
いうか・・美咲ちゃんも酒井さんと考えたりしないのかなって・・・』
『・・・・結婚かぁ・・・将来的にはもちろん、雄二といい家庭を作れたらなって
思いますけど・・・雄二は歌、私はモデル。お互いにそれぞれやりたい事があるから
今はまだいいかなって・・・・』

自分の考えをゆっくりと述べると 美咲はそっと微笑みを浮かべた。
『美咲ちゃんって大人~』
『そんなことないです、大人のフリしてるだけ(笑)』
『そういえば今日は酒井さん来ないの?』
『・・・う~んどうだろ?特に何も言ってなかったんですけど・・・』



“美咲ちゃんのことちゃんとつかまえていた方がいいんじゃないの?“
“こういう状態が続くようだったら・・・”


『あ・・・雄二!』
『・・・噂をすれば何とやらね(笑)』
『今日は?仕事はこれから?』
『あ・・・ああ・・・ラジオ出演が1本・・・・』
そう言って、気付いたように酒井は人気の洋菓子店の袋を掲げて見せた。
『あ、そうそうプリン買ってきたぞ。この間、食べたいって言ってただろ?』
『本当?』
そう言って 輝いた表情を浮かべながら美咲は袋の中を覗きこんだ。
『良かったら真尋さんも食べませんか・・?』
『ここのプリン、すっごく美味しいんですよ~』
そう言って、美咲が真尋に笑顔を向ける。
『本当?それじゃあ、ひとつ貰っちゃおうかな~』
『真尋さんはこれから仕事・・・ですか?』
『ううん、今日はリハ-サルなの。』
穏やかな笑みを浮かべながら そう言ってゆっくりと答える。
『リハ-サル?』
『結婚式の。』
『・・・あ・・そっか・・・』
そう言って酒井は少し恥ずかしそうに頭を掻いた。



『ブ-ケは絶対、美咲ちゃんがとってね(笑)』
『真尋さん・・・・』
『あたしブ-ケは美咲ちゃんがいる方向にしか投げないから(笑)』
『・・・・あ、いけない。それじゃあ失礼します』
『じゃあ美咲ちゃん、今度は結婚式でね』
小さく頭を下げながら、笑顔を浮かべ病室を出ていく真尋に美咲は笑顔で
微笑んだ。

『はい!』


****************




『なぁ美咲・・・・』
『ん・・・・?』
『今、病院に入院してること・・お父さんだけには知らせとかないか?』
『えっ・・・・?』
驚きの表情を浮かべた美咲に 酒井は穏やかな笑みをそっと浮かべながら
ゆっくりと話し始めた。
『今までこうやって何度も入退院繰り返してきたけど、今回ばかりは少し時間が
必要みたいだしさ。俺もこういう仕事してるし、ほら・・何かあった時はやっぱり
家族と連絡取れた方がいいだろう?』
『・・・・・・・・』
『やっぱり・・・お前の身体・・心配だからさ・・・』

自分の身を案じてくれている酒井に対して、美咲は自分でも驚くほどの
言葉を呟いていた。

『・・・・貧乏くじ引いちゃったね・・・・・』
『え・・・・・?』
『世の中・・健康な人なんてたくさんいるのに・・雄二は生まれつき心臓病の
私なんかと出会って・・とんだ貧乏くじ引いちゃったよね・・・・』
『・・・・・・なに・・・言ってんだよ・・・・』
『いいんだよ・・別に今すぐ捨ててくれたって・・・その方が雄二もすっきり
するものね・・・・・』
『・・・・・・・本気で言ってるのか・・・・?』
『本気じゃなかったら、こんなこと言わない』
『・・・・・・・・・』
『・・・・・そうか・・・・・』
どうして・・・素直になれないのだろう・・・・
言いたいことは あなたに伝えたい事はこんな事じゃないのに・・・

『俺は美咲に出逢って、何一つ後悔したことなんてない。でも美咲がそんな風に
思ってたなんて・・・・初めて知ったよ・・・・・』












1人だった   失うものなんて何もないと思っていた。
あなたに出逢った 『失うものなど何もない』とは 言えなかった。
1人でいる寂しさより 2人でいる方が孤独を感じるのはなぜなのだろう
こんなにも あなたが愛しいのに・・・・・





NEXT→
by yuna-sos-0305 | 2006-01-03 16:07